第4章:五色が大切にする「品格」

 


第4章:五色が大切にする「品格」

これまで見てきたように、五色の木目込み人形は、頭部・胴体・衣裳という三つの要素が積み重なり、一体のお人形として完成します。

  • 頭部では、笹目による手描きの眼差しと胡粉仕上げが、やさしさや勇ましさを宿しました。
  • 胴体では、桐塑の堅牢な構造と精緻な筋彫り、そして布を一筋一筋差し込む木目込みの技によって、長く美しさを保つ形が与えられました。
  • 衣裳では、西陣織をはじめとする上質な裂地が選び抜かれ、職人の感性によって柄や色が調和し、お人形の性格を彩りました。

これらすべては、単に部品が組み合わさったものではなく、工程ごとの技と心が重なり合うことで初めて「一体の品格あるお人形」が生まれるのです。

五色が最も大切にしているのは、この「品格」です。
派手さや奇抜さを追うのではなく、子どもの健やかな成長を願い、家族に寄り添う存在として、お人形に込められる落ち着きと格調。それこそが、五色のものづくりの根幹にあります。

一体一体のお人形には、職人の技術だけでなく「人を思う心」が宿っています。その積み重ねによって生まれた品格は、時を経ても色褪せず、代々にわたって愛され続けるのです。


五色の木目込み人形は、頭部・胴体・衣裳という各章で紹介した工程が調和して完成します。そこから生まれる「品格」こそが五色の真髄であり、最も大切にしている価値です。
雛人形にはやさしさと愛らしさを、五月人形には初々しさと勇ましさを——。そのすべてが品格に裏打ちされているからこそ、五色のお人形は特別な存在として多くの家庭に選ばれ続けているのです。


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