雛人形のお道具・お飾りの種類と特徴

雛人形のお飾りや道具には、屏風や吊るし飾りといったお飾りから、雛人形が持つ小さなお道具まで様々なものがあります。
精巧につくられたお道具は、見ているだけでも楽しくなります。
ここでは雛人形のお飾りやお道具にはどんなものがあるのか、単品での購入はできるのかについてご紹介します。

雛人形のお道具・お飾りはどんなものがあるの?

雛人形のお飾りや道具には、屏風や吊るし飾りといったお飾りから、雛人形が持つ小さなお道具まで様々なものがあります。
精巧につくられたお道具は、見ているだけでも楽しくなります。
ここでは雛人形のお飾りやお道具にはどんなものがあるのか、単品での購入はできるのかについてご紹介します。

屏風


屏風とは、部屋の仕切りや飾りなどに使う調度品です。
雛人形の道具としての屏風は、お殿様とお姫様の後ろに立てかけて使います。
中でも金屏風は「お二人の未来が光り輝くように」との意味があるといわれていて、後ろに立てることで光を反射してお人形をより美しく見せる効果もあります。漆塗りや桜の花が描かれたものも安定した人気がありますが、最近ではより一層現代にマッチしたデザインの華やかな屏風も好まれています。

吊るし飾り


吊るし飾りは、ちりめんなどの布を使って作られた小物を紐でつなげ、竹製の輪などに吊るした飾り物です。
吊るす小物はみな縁起物で、「食べ物に困らないように」「お産が軽いように」など、願いが込められた布小物たち。
一説では、江戸時代に雛人形を飾るほど裕福でない庶民の間で広まったといわれています。

毛氈

毛氈(もうせん)は、雛人形たちの下に敷いてある真っ赤な絨毯です。羊毛などを圧縮して作った毛織物で、命の色といわれる緋色の敷物を敷くことで魔よけの意味を持つといわれています

ぼんぼり(雪洞)

「♪灯りをつけましょぼんぼりに」とひな祭りの歌にも登場するお道具です。ぼんぼりは、長柄のロウソク立てを絹などで覆った灯具。江戸時代の結婚式は夜に行うのが一般的だったため、ぼんぼりの明かりは欠かせないものだったのです。結婚式の華やかなライトアップですね。お殿様とお姫様のお顔がほのかに照らされるよう、お二人の左右に配置してあげましょう。

桜橘・紅白梅

桜橘は京都御所にある紫宸殿の、実際の樹木の配置にならって置くといわれるお道具です。紫宸殿で行われる結婚式では、天皇と皇后が北を背景にして座し、建物の左側に桜の木、右側に橘の木が植えられています。
また、紅白の梅を飾る雛人形もあります。配置は向かって左に白梅、右に紅梅です。紅白なので縁起の良い樹木として雛人形の飾りにされています。これらの樹木は、5段目の仕丁達の左右など、段飾りの一番下にいる人物の両脇に飾ります。

貝桶

貝桶とは六角形をしたうるし塗りのお道具で、貝合わせ遊びの貝を入れておくための入れ物です。江戸時代に大名の娘が嫁入り道具として持参するもので、裕福な家庭の象徴とも言えます。よく似ているお道具で、円筒形の行器(ほかい)というお道具がありますが、こちらは食べ物を入れておくお弁当箱のようなもの。
形は似ていますが、実は全く別のものです。これらはお殿様とお姫様の前に一つずつ飾ります。

三方

さんぽう、さんぼう、おさんぼうなどと呼ばれることもあるお道具です。漆塗りの台のようなもので三方向に穴が開いています。三方の上には徳利のような瓶子(へいし)が載り、熨斗のついた梅や桃の花が飾られています。現代では熨斗や水引など縁起物で花をあしらったお飾りになっていますが、本来は三方に乗った瓶子に、魔よけの意味がある白酒を入れていたといわれています。三方は三人官女の真ん中の女性が持っています。

高坏

高坏(たかつき)は、食べ物を盛るための脚付きの器です。
雛祭りでは紅白のお餅や和菓子を乗せています。高貴な人に食べ物を献上するときに使う道具です。三人官女それぞれの間に配置します。

菱餅

赤、白、緑のお餅を重ね菱形に切った菱餅は、春らしい配色で雛祭りを象徴するお餅です。
桃の節句に食べる行事食の一つで、三色の菱餅は明治の頃から広まったといわれています。上から順に赤、白、緑となっていますが、これは雪の下には緑が芽吹き始め、雪が溶けだした上に桃の花が咲いている様子を表したもの。特徴的な菱形には、長寿、子孫繁栄などさまざまな意味があり、大地そのものを指す形であるとも言われています。

嫁入り道具

現代の日本でも、一部の地域では箪笥などの嫁入り道具を持参することがあります。雛人形も結婚式を模したお飾りですから、嫁入り道具を小物として飾ります。嫁入り道具は主に室内で使うもので構成されていて、箪笥、長持、表刺袋(うわざしぶくろ)、火鉢、針箱、鏡台、茶道具などがあります。漆塗りの金蒔絵で、嫁入り道具の豪華さが家の格式を表しました。七段飾りでは六段目に、これらの嫁入り道具が並びます。

お輿入れ道具

「お輿入れ」とは、花嫁の乗った輿を婚礼の際に婚家に乗り入れたことから、嫁入りのことを指しています。雛人形のお輿入れ道具とは、主に屋外で使う嫁入り道具を指し、屋内の小物の中では比較的大きい重箱とともに一番下の段に飾る小物のことです。お輿入れ道具は、平安時代の貴族の乗り物「牛車」、人力で運ぶ「輿」などがあります。

雛人形のお道具やお飾り、単品購入はできる?

お道具やお飾りの単品購入はできるか否か

雛人形は上で挙げたような小物から、髪飾りや人形が持つ付属品までたくさんの小物があります。毎年出し入れしているうちにうっかり落として壊れてしまったり、小さなものを紛失してしまうこともあるでしょう。そんな時は小物だけの単品購入ができます。

ただし、嫁入り道具の鏡台が壊れたからといっても、1点のみの購入は少し慎重になった方がいいかもしれません。なぜなら他の道具類と並べて飾るので、雰囲気が少しでも違うとちぐはぐな印象になってしまう可能性があるからです。

お道具類はセット販売をしていることが多いので、同じ段に飾る小物はセットで購入した方がいいでしょう。

お道具やお飾りの適切な保存方法や注意点

お道具やお飾りはとっても小さなものですので、しまう時にもいくつか注意が必要です。特にお姫様の髪飾りや扇、お殿様の立纓(えい:お殿様の頭につける冠)などは特に小さなものですので、薄紙に包んでからなくさないように一つの箱に一緒に入れて保管しましょう。

婚礼道具は手袋をしてから細い筆などでほこりを払い、和紙など薄紙でくるんでから箱にしまいましょう。ぼんぼりは布でできたライトの部分に防虫剤を入れてから箱にしまえば虫食いを防げます。

これらの片付けはよく晴れた湿気の少ない日に行いましょう。

保管は押し入れや納戸でよいのですが、できるだけ上段にしまうことで湿気やカビを防ぐことができます。雛人形の箱の上に物を重ねると雛人形の小物やお人形の破損を招きますので、箱の上には何も乗せずに保管しておきましょう。