お節句にちなんだ、清々しい緑のアレンジを盛り込んで
端午の節句
春から夏へと季節の変わる時期。
緑もその濃さを増し、
雨の日も増えてくる……
「端午の節句」は、昔から
そんな節目のお節句でした。
青々しい緑をモチーフに、
端午の節句に欠かせない
粽(ちまき)を添えた食卓のご提案です。
旧暦の5月5日は、現在の暦で言うと6月の始め、梅雨入りの時期にあたります。緑がまぶしく、清々しい晴れの日から雨がちになってくる頃の日本では、気持ちも体調も落ちてしまわず健やかな日々を過ごせるようにと、昔からさまざまな工夫をしてきました。
「端午の節句」と言うと「男の子の節句」というイメージがありますが、これは古来、端午の節句には香り高い薬効のある菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を使って心身や空間を清める行事が行われたことに由来します。
鎌倉時代に入り武家社会になると、菖蒲の読みが「尚武」に通じることから、武士らしい男の子の成長を願う行事に発展しました。
また、江戸時代に入ると、幕府が端午の節句を重要な式日と定め、世継ぎである男児の誕生を盛大に祝ったことから、男児のお祝いの日として広まりました。
端午の節句にちなんだお供え物は、昔から粽を供え、食べたものでした。
古代中国より伝わる節句の粽とは違い、日本で昔から供えられた粽は、鉾に見立てて場を清める意味があったそうです。
「まるで鉾のような見た目」…と言えば、アスパラガスなどはまさしく、この時期に食べたい旬の味覚としても最適ですね。
そんなアスパラガスをまるごとあしらい、梅雨の晴れ間に見かける、青々とした緑を模したような美しいお野菜をちりばめたワンプレートには、蓬の青さが旨みを引き出すリゾットの上に出世魚のブリを真ん中にこんもりと盛り付け、デンとした元気の良さを表現しています。
優しい味わいの蓬のリゾットと、ブリの生臭さを消しながらそのおいしさを引き出すお味噌のまろやかな味付けは、ついついお箸が進む組み合わせ。
添えたスープには緑豆を使い、メインの一皿に使ったアスパラガスを下ごしらえする時に出たアスパラの固い皮でだしを取り、味をリンクさせています。
まろやかなバターと初夏を感じるレモンの爽やかさも相まって、お子さまでも野菜をたっぷり召し上がれるスープと、緑でいっぱいのプレートのセット。
旬な色彩感とおいしさを楽しめるだけでなく、家族みんながハフハフ、モリモリとそのおいしさに夢中になってしまうような、手軽なのにおしゃれなごちそうメニューです。
もちろん、デザートに粽も添えて、爽やかでヘルシーな初夏の恵みをいただきます。
鰤の酢味噌焼きとアスパラの鉾焼き 緑豆のタルタル アスパラソース
◎材料(4人分)
- 鰤の切り身(120g程) 4切れ
- グリーンアスパラ 太8本
- 酢味噌(市販) 適量
アスパラソース
- グリーンアスパラ 太4本
- 水 200ml
- チキンコンソメ(顆粒) 2g
- 塩 適量
緑豆タルタル
- スナップエンドウ 6本
- さやいんげん 6つ
- インゲン 6本
- グリーンピース 10粒
- ゆで卵 1個
- ケッパー(あれば) 2g
- コルニッション(ピクルス) 5g
- グリーンピース 10粒
- マヨネーズ、ビネガー(バルサミコ酢や穀物酢など) 各10g
- 塩、白胡椒 適量
よもぎリゾット
- 白米 120g
- 水 100ml
- チキンコンソメ(顆粒) 1g
- よもぎ粉末 3g
- 粉チーズ、塩 適量
飾り付け用
- キウイフルーツ 1個
- 水菜、クレソン 適量
◎作り方
-
鰤とアスパラに塩をまんべんなくふり、その上からオリーブオイルを塗る。鰤の方だけに、酢味噌を薄く塗りアスパラと一緒に180℃オーブンで10分焼く。
<オーブントースターの場合>
下にアルミホイルを敷き、500W180℃で8~12分焼く。様子をみて足りない場合は、さらに5分加熱する。 - 鍋に水、チキンコンソメを入れ火にかけて沸騰させる。そこへアスパラを1cmほどに刻み、柔らかくなるまで煮る。
- 柔らかくなったアスパラだけをジューサー(またはハンドジューサー)へ入れ、煮汁50~80mlを加えて回し、ピュレにする。塩で味を整え、アスパラソースとする。
- 緑豆4種類を5mm程度に切り、茹でて水気をしっかりふき、ボールへ入れる。そこへ、ゆで玉子、ケッパー(あれば)、コルニッション(ピクルス)を細かく刻み、合わせ、マヨネーズ、ビネガー、塩、白胡椒で味を決める。
- 鍋に水、白米、チキンコンソメ、よもぎ粉末を入れ 火にかける。お好みの柔らかさまで、煮詰めてリゾットに。最後に火を止めてから粉チーズを入れ、塩で味を整える。
- 飾り付け用のキウイフルーツは、1cmのサイズの立方体にカットしておく。
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お皿の真ん中より少し左上によもぎリゾットを盛り、その上に焼いたアスパラを二本乗せ、アスパラが見えるように鰤を盛る。アスパラのソースを回しかけ、キウイフルーツを散らす。緑豆のタルタルは、鰤に乗せるように盛り付け、最後にクレソンと水菜を飾り出来上がり。
<MEMO>
リゾット用に購入したよもぎ粉末が余ったら、パンケーキの種に混ぜて約のがおすすめです。春の香り豊かな和風パンケーキ、是非お試しください。
緑豆のレモンバタースープ
◎材料(4人分)
- スナップエンドウ 8本
- さやいんげん 8つ
- インゲン 8本
- グリーンピース 20粒
- 水 600ml
- チキンコンソメ(顆粒) 6g
- レモン汁 1/4個分
- バター 10g
- 塩、白胡椒 適量
◎作り方
- 鍋に水、チキンコンソメを入れ火にかけて沸騰させ、鶏出汁を作る。
- 緑豆4種類を5mm程度に切り、バターと共に、1の鍋に入れ、柔らかくなるまで煮る。
- 塩、白胡椒、レモン汁で味を整え、スープカップに注いで出来上がり。
Photo: Kyoko Kataoka
Text: Kaoru Tateishi, Hiroko Hara
Recipe: 球体食堂